TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1
スペシャルインタビュー ♯08

TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1開催を記念して、 連続インタビュー企画を実施!
大好評企画の8回目となる今回は、振付家の近藤良平さんが登場。バレエ団として初の試みとなる今回の公演。振付家として参加する近藤さんに今回の公演への想いを伺いました。

このインタビューシリーズでは、舞台裏の裏話や振付家・アーティストの情熱に迫ります。
第9弾も近日公開予定! 楽しみにお待ちください。


今回の公演に参加するきっかけと谷桃子バレエ団との関係について


──近藤さんがバレエ団のダンサーたちのために振付をされるのはこれが初めてのことではないでしょうか。

そうですね。5、6年前に日本バレエ協会の公演でバレエダンサーたちに振付けているんですが、バレエ団で、というのはなかったですね。谷桃子バレエ団ではワークショップを手伝ったことあるけれど、振付ということでは今回が初めてです。

──今回の公演で振付をという依頼があった時は、どう感じられましたか。

ひさちゃん──髙部尚子さんとは、90年代後半にダンサーとして同じ舞台に出たことがあって、実はかなり古い付き合いなんです。今回、声をかけてくれたのは僕としてはすごくありがたかった。バレエ団というか、バレエ言語というのは、僕にとってはそんなに遠くないものだけれど、近くもないなという感じなんです。少し話がズレてしまうけれど、バレエというジャンルの中に、コンテンポラリーというのがあって、でもそれは僕らの言うコンテンポラリーとはちょっと違うし、僕たちももうあまりコンテンポラリーっていう言い方すらしなくなってきている。ダンスの中の、そういう位置付けがごちゃ混ぜになってしまっている中で、バレエ団とかクラシックバレエというのは、すごくクリアですよね。一つの形式をちゃんと守っている中で、こういう公演を企画するというのは、何か変わっていくんだろうなという感じがしました。 今回は、女性三人の作品と男性二人の作品を創っていますが、とくに女性の作品については、ひさちゃんから「いじってあげてね」というニュアンスで言われていて(笑)。いつもと違うことをやらせてほしいという空気感でしたね。

──振付けるならこんな作品、というイメージはありましたか。

いい意味で、そんなに深刻な作品を創る必要はないわけです。バレエにおいてはちょっと緊張する身体でも、もっと楽な見せ方っていうのもいいのかなと。今回は第一段階ですから、頑張りすぎなくていいなとも感じていました。

オーディションから参加いただいた今回の公演。ダンサーたちへの印象は。


──山口緋奈子、北浦児依、白井成奈の女性三人には『Miradita』という作品を振付けられています。

「ミラディータ」というのは、この作品に使用している2つ目の楽曲のタイトルで、スペイン語で、ちょっと可愛らしく「見てね」という意味合い。僕は南米、スペイン語圏で育ちまして、子供の頃に南米で聴いていた音楽です。ちょっと軽い感じですが、明るくて楽しい。彼女たちにぴったりだと思います。山口緋奈子さんは、三人の中では一番のお姉さんタイプですよね。北浦児依さんは、ちょっと強くて凛とした雰囲気。白井成奈さんはすごく優しくて、僕の中では親戚の人みたいな感じ。三人とも全然違うので面白いですね。でも皆、楽しそうに取り組んでくれています。

──男性陣の二人については、オーディションで出会ったそうですね。

オーディション、楽しかったですね。皆、顔も違うけれど、背の高さだったり、身体全体だったり、それぞれに個性がある。バレエダンサーでも皆違うんだなって思いました。今回僕の作品を踊ってもらう清水豊弘くんと児玉光希くんは、少し小柄で、身体が利く。それで、なんかこう似たもの同士なのに背比べしているみたいな感じをイメージしたんです。しかも二人は同じスタジオ出身! 面白いなって思いました。

──お互いにテクニックを次々に繰り出して張り合うような場面もありますね。

バレエの言語も結構入っていますが、二人にとってはちょうどいい感じだと思うんです。というのも、踊っている男の子としては、そういうテクニックを見せたい願望が絶対にある。僕も20代の頃はとにかくよく跳んでいたし、ジャンプ力があるからと跳ばされたし(笑)、跳ぶとカッコいいと思ってもらえるみたいな感じがずっとありましたから。

──バレエダンサーに振付ける面白さってどんなところにあると感じていますか。

音に乗る、何かをキャッチするということについては、彼らはもう勝手にうまくなってくれる。僕の中では、どこの人に振付けるとしても材料は一緒ですが、いろんな人がいる中でのバレエの人は、やっぱりスペシャリティは高いですね。

でも例えば、児依さんに聞くところによると、彼女なんてもう、舞台に出る時はほぼいつもトウシューズだというんです。本当に大変なんだなって思いますよね。でも今回はトウシューズなしの “地上戦”になる(笑)。それはもう全然違うし、彼女たちはその世界を受け入れようというふうに思ってくれているので、僕は手放しでいいなと感じています。 もう一つ思ったのは、谷バレエ団のメンバーは皆んな仲良いの?ということ。バレエ団というものに対する僕の勝手なイメージだと、それぞれが自分に対してストイックすぎて、横の関係はあまり重要じゃない場合もあるのではと思い込んでいたんです。大袈裟に言うと、何かこうギスギスとした関係だったりするのかなと。ところが、谷バレエ団は全然そうではない。皆の中にすごく協力体制があるし、和やかにやるという以前に、皆が楽しもうとする雰囲気がある。そういう部分も、僕はもうすごく気に入ってしまいました。

今回の公演を通じて得た経験と、これからの振付家としての可能性と展望 。

──今回の公演では、近藤さんのダンスをご覧になったことないお客さまもいらっしゃるのかなと思います。

前田清実さんや湖月わたるさんはジャズとかシアターといったジャンルでお仕事をされていて、そういう愛すべきジャンルの中での表現の挑戦だったりしますね。でも僕の場合、そういうのは「ない」って考えたほうがいいんですよね。僕は男性だけのカンパニーでコンドルズというのをやっているけれど、今回はその振りとも違うし、ただ「近藤さんの振り」(笑)。そういうのもアリかなと思っています。でも、今回のことを皆にどうやって知らせようかなって感じもしている。これって半分仕事だし、半分仕事でないし。

──半分お仕事でないというと

バレエダンサーの人たちに何か広がりを持ってもらいたいっていう意味では、半分仕事ではないですから。それを友達にどう伝えたらいいのかなと。「振付家・近藤良平による何とか」っていうと、僕としてはそんな感じではないような気もするし、本当にまだまだ始めたばかりのことですから、そんなに気負ってもしょうがないとも思っています。でも、今後いろんな形に展開できるかもしれないし、もっと大きな作品だって創れるかもしれない。乞うご期待、です(笑)。

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