TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1
スペシャルインタビュー ♯09

TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1開催を記念して、 連続インタビュー企画を実施!
大好評企画の9回目となる今回は、振付家の岩上 純さんが登場。バレエ団として初の試みとなる今回の公演。振付家として参加する岩上さんに今回の公演への想いを伺いました。

このインタビューシリーズでは、舞台裏の裏話や振付家・アーティストの情熱に迫ります。
第10弾も近日公開予定! 楽しみにお待ちください。


再び谷桃子バレエ団の一員となった岩上。復帰後初仕事となる今回の公演、その想いを語る。


──谷桃子バレエ団のダンサーとして活躍後、バレエマスターとして活躍されていますね。

実は、いろいろと考えることがあって2年前に一度退団しているのですが、その後も今年の新春公演『ドン・キホーテ』にサンチョ・パンサ役で客演させていただいて、8月の日生劇場での『くるみ割り人形』もゲストとして呼んでいただきました。古くからの仲間や新しく入ってきた人と一緒にリハーサルを重ね、ともに舞台に立つことで、仲間意識というものを強く感じましたし、とくに谷桃子バレエ団はそういった感覚が強いカンパニーだと思います。そんな中で復帰のお話をいただいて、自分で辞めておいてそんなに簡単に戻っていいものかとまた悩みましたが、すごく温かく迎えてくれたので、本当にありがたいなと思っているんです。この公演での振付が、復帰後最初の仕事になりました。

──今回、石川真悠に振付けた『What do you want to do?』という作品にはどんな思いが込められているのですか。

実をいうと、自分の子供の頃の話が今回の作品のテーマにも関係しているんです。
自分はわりと「これやりたい」、「あれやりたい」と、やりたいことがコロコロと変わる人間でした。小学生の時は教科書に落書きばかりしていて、漫画家になりたいなと思っていましたが、そんなに辛抱強い子ではなかったので、中途半端なままその夢は終わります。中学高校は体操部で、これは打ち込んでやっていましたが、いっぽうでバンドもやっていて、バンドマンになりたいと思ったりもしていた。それが高校3年生の時、体操部宛に「バレエの発表会でバク転をしてほしい」という依頼があり、バレエの発表会でバク転をさせられた──。それで初めてバレエに触れて、急にバレエをやりたくなって、結局その教室に通い始めたわけなんです。

──その時は、趣味でバレエをやりたいと思われた、ということしょうか。

いや、バレエダンサーになりたいと思って、です。いま思うと本当に恐ろしいことですが(笑)。その教室というのが、その後自分の師匠となる谷桃子バレエ団の大先輩、斎藤彰先生のスタジオでした。──今回はそんなふうに、やりたいことがコロコロと変わって、自分でもよくわからなくなる感じを作品にしたいなと思ったんです。

振付家としての成長と挑戦。


──谷桃子バレエ団に入団後は、ダンサーとして活躍すると同時に、振付家としても数々の作品を手がけられています。何かきっかけがあったのですか。

2001年にバレエ団に島﨑徹先生が振付にいらして、その作品に出演させてもらったことが直接のきっかけとなりました。強烈なインパクトを受けたんですよね。それまで漠然としていた「振付をしたい」という気持ちが明確になって、実際に振付をさせてもらえる場を自分で探し始めました。振付なんてやったこともないのに(笑)! 顔見知りの先生に頼み込んで、発表会などの振付をさせてもらいましたが、ありがたいことでしたね。 谷バレエ団では、2003年から2008年に実施していた「CREATIVE PERFORMANCE」という公演で毎回作品を発表していました。2007年の時に初めて、バレエ団の本公演で『レクイエム』という作品を上演させてもらっています。

──作品のベースはバレエのテクニックになるのでしょうか。

自分の知識もバレエが中心ですし、踊るのもバレエダンサーですから、僕の振付はバレエテクニックが武器になるけれど、それをあえて崩しつつ、でもベースにはバレエがあって、というところですね。

──が、石川真悠が踊る今度の作品は、全然違う印象です。

ほとんどバレエじゃないですよね(笑)。もう気持ちがコロコロ変わって混乱している、そんな女の子を、ポップでキュートな感じに表現してみたんです。

──彼女のキャラクターを活かした、可愛らしく、元気いっぱいの振付ですね。

彼女は『ドン・キホーテ』ではキューピッドを踊りましたし、8月の『くるみ割り人形』ではクララを演じています。そういったキャラクターにぴったりなのですが、でも欲をいえばもうちょっといける、もっと自分の魅力を前面に出していけるのでは、と思ったこともあるんです。技術的には問題ないのだけれど、さらに自分をアピールすることに挑戦することで、表現の幅を増やしていってほしい。そんな期待も込めて、リハーサルを重ねています。

──お芝居のような部分もあります。彼女は前向きに取り組んでいたようですね。

ディスカッションもたくさんしてきました。与えられたものの中で自分はこう表現したい、ということがあったほうが、そのまま直に表現につながっていくと思うので。公演では、舞台の上で何をやっているのかということがしっかり伝わったうえで、彼女の混乱している様子がちゃんと伝わって、お客さまに「何やってんの!?」(笑)って思ってもらえたらいいですね。

──今回の公演で伝えたい、谷桃子バレエ団の魅力ってどんなところにあると思いますか。

やっぱり人間味のあるところだと思うんです。谷バレエ団には、斎藤彰先生、赤城圭先生はじめ、役者肌のダンサーがたくさんいて、上手い下手とか、綺麗とかそうでないとかではないところの、人間味や、温かいところが大きな魅力としてあると感じていました。自分も作品を創る中で、振りを見せるとかテクニックを見せるということだけでなく、バレエを全く観たことがないお客さまにも、何かを感じてもらえるような作品をお届けできたら──。それが、いまの自分の中のテーマです。「バレエを観る!」と意気込んで、かしこまってではなく、肩の力を抜いて、気楽に観に来ていただけたら嬉しいですね。

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