TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1
スペシャルインタビュー ♯04

TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1開催を記念して、 連続インタビュー企画を実施!
大好評企画の4回目となる今回は、バレエ指導者で振付家の坂本登喜彦さんが登場。バレエ団として初の試みとなる今回の公演。振付家として参加する坂本さんに今回の公演への想いを伺いました。

このインタビューシリーズでは、舞台裏の裏話や振付家・アーティストの情熱に迫ります。
第5弾も近日公開予定! 楽しみにお待ちください。


ダンサーはセカンドアーティストからの抜擢。
バレエ団の未来を背負って立つ二人に期待することは。


──今回の公演では、坂本さんの振付作品『落日のオフィーリア』という女性のソロ作品が上演されますが、ダブルキャストの二人はいずれもセカンドカンパニーのダンサーですね。

丸本比奈子さんと山元祥子さんの二人です。二人とも僕に選ばせてもらいました。実は、僕は今年の5月から、週に1回、セカンドカンパニーのクラスの指導をしていて、二人のことも普段からよく見ていました。バレエ団の未来を背負って立つ、若いダンサーたちです。

今回上演するのは、シェイクスピアの「ハムレット」の登場人物、オフィーリアにフォーカスした小品です。恋人のハムレットに無下に扱われ、さらには父を殺されて正気を失い、入水して命を落とす。その最後の姿を描きたいと4、5年前に創作したものがベースになっていますが、この二人が演じることで、全く違うものに生まれ変わったと感じています。

──二人のダンサーはオフィーリアのイメージで選ばれたのですね。

ですが、二人は全然タイプが違うんですよね。山元さんはある意味、暗い部分を秘めたダンサーで、それが、自分の心情を正直に言えずに、ずっとこらえて最期を迎えたオフィーリアに合っていると思いました。どちらかというと“陰”ですが、いっぽうの丸本さんはその逆で、 “陽”。オフィーリアというのはどんなだっただろうと考えると、すごく朗らかで明るいけれど、人生のいろいろな岐路に立たされて、どんどん心を病んでいったと考えることもできるし、明るく振る舞って水遊びをするうちに命を落としてしまったとも捉えられる。戯れているうちに死んでしまったとしたら、水の中での彼女は最高に幸せだったのでは、という発想もできる。丸本さんはそんな表現ができるかもしれない。

二人は稽古をするたびに変わってきています。素材として素晴らしいものを持っている彼女たちに、こうした経験をしてもらう機会をつくることも、今回の公演の狙いです。

丸本比奈子(左)/ 山元祥子(右)

振付家・ 坂本登喜彦が語るバレエの魅力。
また、振付家とダンサーの関係性とは。


──音楽はフィリップ・グラスです。

僕が振付をする時は、音楽が一番大事で、音楽にリスペクトがないと創作はできません。最初にこの音楽を聴いた時、自ずと水が渦巻くイメージが湧いてきました。この楽曲はもともと映画音楽ですから、作曲家はそんなイメージは想定していなかったでしょう。が、僕にはもう、どうしても “渦”にしか聴こえなくなってしまった(笑)! それが、水の中のオフィーリアに繋がりました。大型4面LEDパネルの映像の中で踊る形になるので、それはもう、想像力を膨らませていただけることと思います。

──では、バレエの魅力は、どんなところにあると思われますか。

ルーツを辿ると──子供の頃、まだバレエを始める前ですが、親に買ってもらったステレオで、叔母がくれたクラシック音楽の全集のレコードを何が何だかわからないながらも聴き続けていて、中でもチャイコフスキーやビゼーの曲がすごく心に残ったんです。その後、地元の札幌で『白鳥の湖』の舞台を観る機会があったのですが、あれ、これ聴いたことがある。しかも、言葉など一つも喋っていないのに、動きでドラマが伝わってくる!というのを目の当たりにして、感動してしまった。それで高校1年の時にバレエを始め、あれよあれよという間にのめり込んでいきました。やはり、セリフがないのに、喋っていないのに伝わってくるなんて、素敵じゃないですか! バレエの醍醐味だと思います。

──現役で数々の舞台に出演していた頃から振付を手がけてこられました。何かきっかけがあったのですか。

いろんな方に振付けてもらう中で、「いや、そうじゃなくて、むしろこうじゃないかな」と思いながら踊っていたところも、正直、あったんです。申し訳なかったな、と思いますし、皆さん、「イヤなやつだな」「あいつに振付すると全然違うことになる」って思われていたでしょう(笑)。でも、逆に「あなたに振付をすると倍になってかえってくる」と言ってくださった方もいました。
実は一度、小川亜矢子先生(1933〜2015)がリハーサルの最中に涙を流されたことがあったんです。先生にとって特別に思い入れの深い作品だったからかもしれないし、僕がその踊りを膨らませたことで何か心に響いたのか、とにかく泣いてくださった。振付家とダンサーって、そういう関係であるべきかなと思っているんです。お客さまに感動してもらう前に、まずは振付家に感動してもらわなければ、と思うこともあります。

坂本登喜彦と谷桃子バレエ団の
これまでとこれから。


──谷桃子バレエ団との思い出を教えてください。

もう40年くらい前のことですが、札幌で活動していた僕を、はじめてゲストとして呼んでくれた東京のバレエ団が、谷桃子バレエ団でした。『白鳥の湖』の道化の役です。地方から東京に男性ダンサーを呼んでくれるなんて、普通は考えられないことでしたから、もうガッタガタに緊張していました(笑)。その時、ナポリの真ん中を踊っていたのが現芸術監督の髙部尚子。まだ英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学する前でしたが、小柄でよく動く、並外れた表現力のダンサーという印象でした。バレエ団にはその後もたびたび客演させていただいたり、振付もさせてもらったりしてきました。

──比較的近いところからずっと谷桃子バレエ団を見てこられたというわけですね

昔から個性的なダンサーがたくさんいました。演劇的要素の強いバレエを表現できる団体だと思いますし、そのDNAはいまも受け継がれているはずですから、これからも実験的なことをどんどんやっていっていただけたらと思います。だから何でもトライしないと!

今回は、ジャズダンスをはじめ、踊りのいろんな面、いろんな魅力を見ていただくことができるバラエティ感のある公演になっていると思います。次もこのダンサーを見に来たい、と思っていただける、そのきっかけとなる場になったらいいですね。

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